介護の仕事を始めてしばらく経った頃。
少しずつ仕事にも慣れ、利用者さんのお名前や性格も覚えられるようになってきました。
毎日関わっていると、利用者さん一人ひとりに違った人生があり、たくさんの経験をされてきたことを感じます。
ある日のことです。
いつものように利用者さんとお話をしている時でした。
一人の利用者さんが、ふと昔の話をしてくださいました。
「昔は、こんな仕事をしていたんだよ。」
「こんな経験をしてきたんだよ。」
普段の何気ない会話の中でしたが、自分の大切な思い出や人生経験を話してくださったことが、私は素直に嬉しかったです。
少しずつ信頼していただけているのかな。
そんな気持ちになりました。
そして最後に、
「いつもありがとうね。」
そう声をかけてくださいました。
何気ない一言でした。
でも、その言葉を聞いた瞬間、胸が温かくなりました。
私は仕事として介護をしている。
利用者さんを支える側だと思っていました。
しかし実際は違いました。
利用者さんの笑顔。
優しい言葉。
昔の経験を楽しそうに話してくださる時間。
気づけば、私自身がたくさんの元気をいただいていました。
介護の仕事を始める前、私は「介護=大変な仕事」というイメージを持っていました。
もちろん、体力的に大変なこともあります。
責任の重さを感じる場面もあります。
それでも、この仕事には数字では表せない喜びがあります。
人生の先輩である利用者さんから教えていただくことも、たくさんあります。
60歳から介護の世界へ飛び込んだ私。
最初は、分からないことばかりでした。
失敗して落ち込むこともありました。
でも、利用者さんからいただく何気ない一言が、
「また明日も頑張ろう。」
そう思わせてくれます。
介護とは、一方的に支える仕事ではありません。
人と人が関わり、お互いに温かい気持ちを分け合う仕事なのだと感じています。
これからも利用者さんとの一つひとつの出会いを大切にしながら、少しずつ成長していきたいと思います。
【次回予告】
第14話 まだまだ続く学びの日々
少しずつ慣れてきた介護の仕事。
しかし現場では、毎日のように新しい気づきがあります。
利用者さん一人ひとりに合わせた対応の難しさ。
そして介護という仕事の奥深さ。
次回は、経験を重ねる中で感じた「学び続ける大切さ」についてお話しします。


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