介護の仕事を始めてしばらく経った頃。
私は、介護の仕事は利用者さんと向き合うことだけではなく、スタッフ同士の連携が何より大切な仕事なのだと実感するようになりました。
デイサービスの朝は、とても慌ただしく始まります。
居室から利用者さんをデイサービスルームへ誘導し、到着された方から順番にバイタル測定を行います。
その間に一人は入浴の準備を進め、バイタル測定が落ち着いてくると、一人が利用者さんへ体操を促し、お手本となりながら一緒に身体を動かします。
さらに別のスタッフは、お茶やお菓子の準備を進めています。
誰か一人が全てを行うことはできません。
それぞれが自分の役割を果たしながら、周りの状況を見て自然に動いています。
入浴介助でも同じでした。
入浴介助は、衣服の着脱を手伝う着脱担当と、浴室で身体を洗う浴室担当が連携して行います。
立ち上がることが難しい利用者さんや体重のある利用者さんは、一人では安全に介助することができません。
洗いが終わる頃を見計らって着脱担当が浴室へ入り、移乗を手伝います。
また、機械浴では車いすから入浴用チェアへ移乗する際、安全に介助するため、着脱担当が応援に入ります。
着脱担当が浴室へ入り、
「〇〇様、失礼します。」
と声を掛けると、浴室担当が
「はーい。」
と返事をします。
利用者さんには手すりをしっかり握って立っていただき、一人が身体を支えます。
同時にもう一人が、
「車いす下げます。」
と声を掛けながら車いすを後方へ下げ、すぐに入浴用チェアを利用者さんの後ろへ移動させます。
お互いが声を掛け合い、タイミングを合わせることで、安全に移乗を行うことができます。
そんな短い言葉だけでも、お互いの動きがぴったりと合っていました。
また、自分で歩ける利用者さんでも、安全に入浴できるとは限りません。
「早く入りたい。」
そんな思いから、一人で一般浴へ向かってしまう方もいらっしゃいます。
そのような時は、慌てて追いかけるのではなく、
「少しお待ちくださいね。一緒に行きましょう。」
と声を掛け、安心していただきながら歩行のお手伝いをします。
転倒を防ぐことも、大切な介護です。
私はこの仕事を始めるまで、「介護は一人ひとりが利用者さんを支える仕事」だと思っていました。
しかし実際には違いました。
介護は、スタッフ全員で利用者さんを支える仕事。
一人の力には限界があります。
だからこそ、お互いに助け合い、声を掛け合い、連携することが利用者さんの安全につながるのだと学びました。
この日、私は介護は一人でする仕事ではなく、仲間と支え合って利用者さんを守る仕事なのだと実感しました。そして、その土台にあるのが「チームワーク」なのだと学びました。
次回予告 第12話「笑顔があふれたレクリエーション」
最初は緊張していた私でしたが、利用者さんと一緒に笑い合える時間が少しずつ増えてきました。
介護の現場で感じた、笑顔の力についてお伝えします。


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