60歳で早期退職する。
そう決めるまでには、気持ちだけでは乗り越えられない現実がありました。
「新しいことに挑戦したい。」
「残りの人生を、自分らしく歩んでみたい。」
そんな思いがある一方で、避けて通れない問題もありました。
それがお金の問題です。
長年勤めてきた会社を離れるということは、当然ですが毎月の収入が大きく変わるということです。
会社員として働いていた頃は、毎月決まった日に給料が入りました。
賞与もありました。
長く続けてきた生活の中で、それが当たり前のようになっていました。
しかし、退職すれば、その環境は大きく変わります。
特に私の場合、60歳とはいえ、まだ完全に仕事を引退する年齢ではありませんでした。
生活があります。
家族があります。
住宅ローンなど、将来のお金についても考える必要がありました。
「本当に辞めても大丈夫なのか。」
「これから生活していけるのか。」
何度も考えました。
勢いだけで退職を決めることはできませんでした。
そこでまず行ったことは、今後のお金の流れを確認することでした。
現在ある資産。
退職金。
毎月必要になる生活費。
今後入ってくる収入。
年金を受け取るまでの期間。
一つひとつ確認していきました。
頭の中だけで考えていると、不安ばかりが大きくなります。
しかし、実際に数字として確認してみると、見えてくるものがあります。
足りる部分。
気をつけなければいけない部分。
準備しておくべきこと。
漠然とした不安が、少しずつ具体的な課題に変わっていきました。
もちろん、退職後に前職と同じ収入を得ることは簡単ではありません。
私自身、再就職後の収入は大きく変わりました。
最初は、その変化を受け入れることへの不安もありました。
しかし、その一方で考えたことがあります。
これからの人生で大切にしたいものは何なのか。
収入だけなのか。
時間なのか。
健康なのか。
新しい経験なのか。
家族との時間なのか。
もちろん、お金は大切です。
きれいごとだけでは生活できません。
だからこそ、現実から目をそらさず向き合う必要があると思いました。
60歳という年齢は、人生の終わりではありません。
でも、何も考えずに進める年齢でもありません。
今まで積み重ねてきたもの。
これから必要になるもの。
そして、これからどう生きたいのか。
その両方を考える大切なタイミングなのだと思います。
私自身も、退職を決める前は不安がなくなったわけではありません。
それでも、一つひとつ数字を確認したことで、
「不安なまま悩む」のではなく、
「現実を理解したうえで選ぶ」
という気持ちに少しずつ変わっていきました。
数字と向き合い、現実を知ること。
それが、新しい一歩を踏み出す準備になるのだと思います。
次回は、退職するうえで大きな支えとなった「退職金」について、私がどのように考えたのかを書いていきたいと思います。
【次回予告】
第24話 退職金は安心材料なのか、それとも将来への備えなのか
長年働いて受け取る退職金。
大きなお金だからこそ、使い方や考え方には悩みました。
住宅ローン。
生活費。
老後資金。
今使うべきお金なのか。
将来のために守るべきお金なのか。
目の前にある大きなお金を、安心して使ってよいのか。
それとも、将来のために残すべきなのか。
私自身が退職前に考えたこと、そして実際にどのような判断をしたのかをお話しします。


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