第23話 収入が変わる現実と向き合う

60歳で早期退職する。

そう決めるまでには、気持ちだけでは乗り越えられない現実がありました。

「新しいことに挑戦したい。」

「残りの人生を、自分らしく歩んでみたい。」

そんな思いがある一方で、避けて通れない問題もありました。

それがお金の問題です。

長年勤めてきた会社を離れるということは、当然ですが毎月の収入が大きく変わるということです。

会社員として働いていた頃は、毎月決まった日に給料が入りました。

賞与もありました。

長く続けてきた生活の中で、それが当たり前のようになっていました。

しかし、退職すれば、その環境は大きく変わります。

特に私の場合、60歳とはいえ、まだ完全に仕事を引退する年齢ではありませんでした。

生活があります。

家族があります。

住宅ローンなど、将来のお金についても考える必要がありました。

「本当に辞めても大丈夫なのか。」

「これから生活していけるのか。」

何度も考えました。

勢いだけで退職を決めることはできませんでした。

そこでまず行ったことは、今後のお金の流れを確認することでした。

現在ある資産。

退職金。

毎月必要になる生活費。

今後入ってくる収入。

年金を受け取るまでの期間。

一つひとつ確認していきました。

頭の中だけで考えていると、不安ばかりが大きくなります。

しかし、実際に数字として確認してみると、見えてくるものがあります。

足りる部分。

気をつけなければいけない部分。

準備しておくべきこと。

漠然とした不安が、少しずつ具体的な課題に変わっていきました。

もちろん、退職後に前職と同じ収入を得ることは簡単ではありません。

私自身、再就職後の収入は大きく変わりました。

最初は、その変化を受け入れることへの不安もありました。

しかし、その一方で考えたことがあります。

これからの人生で大切にしたいものは何なのか。

収入だけなのか。

時間なのか。

健康なのか。

新しい経験なのか。

家族との時間なのか。

もちろん、お金は大切です。

きれいごとだけでは生活できません。

だからこそ、現実から目をそらさず向き合う必要があると思いました。

60歳という年齢は、人生の終わりではありません。

でも、何も考えずに進める年齢でもありません。

今まで積み重ねてきたもの。

これから必要になるもの。

そして、これからどう生きたいのか。

その両方を考える大切なタイミングなのだと思います。

私自身も、退職を決める前は不安がなくなったわけではありません。

それでも、一つひとつ数字を確認したことで、

「不安なまま悩む」のではなく、

「現実を理解したうえで選ぶ」

という気持ちに少しずつ変わっていきました。

数字と向き合い、現実を知ること。

それが、新しい一歩を踏み出す準備になるのだと思います。

次回は、退職するうえで大きな支えとなった「退職金」について、私がどのように考えたのかを書いていきたいと思います。

【次回予告】

第24話 退職金は安心材料なのか、それとも将来への備えなのか

長年働いて受け取る退職金。

大きなお金だからこそ、使い方や考え方には悩みました。

住宅ローン。

生活費。

老後資金。

今使うべきお金なのか。

将来のために守るべきお金なのか。

目の前にある大きなお金を、安心して使ってよいのか。

それとも、将来のために残すべきなのか。

私自身が退職前に考えたこと、そして実際にどのような判断をしたのかをお話しします。

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