リスタート物語では、私自身の退職や再就職の経験を中心に書いていますが、この「制度」の記事では、そこで登場した退職後の健康保険について、私が選択した任意継続以外の選択肢や、それぞれの特徴など、選ぶ際のポイントを分かりやすく整理していきます。
「退職したら、健康保険はどれを選べばよいのだろう?」と迷っている方の参考になれば幸いです。
~任意継続・国民健康保険・家族の扶養をわかりやすく比較~
会社を退職するとき、忘れてはいけない手続きの一つが「健康保険」です。
会社員として働いている間は、毎月の給与から健康保険料が天引きされているため、普段はあまり意識することがないかもしれません。
私自身も、会社員だった頃はそうでした。
しかし退職すると、それまで加入していた会社の健康保険の資格を失います。
そして退職後は、
「今までの健康保険を続けた方がいいのか?」
「国民健康保険に入った方が安いのか?」
「家族の扶養に入ることはできないのか?」
と、自分で考えて選択する必要が出てきます。
しかも、選択によって毎月支払う保険料が変わる可能性があります。
今回は、退職後の健康保険について、私自身が退職した経験も交えながら、もう少し詳しく整理してみたいと思います。
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退職すると会社の健康保険はどうなる?
まず知っておきたいのは、会社を退職したあとも、それまでの健康保険をそのまま使い続けられるわけではないということです。
原則として、退職日の翌日に、それまで加入していた健康保険の被保険者資格を失います。
つまり、
退職日まで → 会社の健康保険
退職日の翌日から → 新しい健康保険への切り替えが必要
ということになります。
日本では何らかの公的医療保険に加入する必要がありますので、退職後の健康保険をどうするか、あらかじめ考えておくことが大切です。
退職後の健康保険には主に3つの選択肢がある
会社を退職したあとの健康保険は、大きく分けると次の3つです。
① それまでの健康保険を「任意継続」する
② 国民健康保険に加入する
③ 家族の健康保険の「被扶養者」になる
ここで重要なのは、
「どれを選んでも同じ」ではない
ということです。
加入条件だけでなく、保険料にも違いがあります。
そのため、退職前にそれぞれを比較しておくことをおすすめします。
① 健康保険の「任意継続」とは?
任意継続とは、会社を退職したあとも、一定の条件を満たせば、それまで加入していた健康保険に引き続き加入できる制度です。
協会けんぽの場合、主な条件は、
・退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること
・資格喪失日(通常は退職日の翌日)から20日以内に手続きをすること
です。
加入できる期間は原則として最長2年間です。
ここで特に注意したいのが、
「20日以内」
という期限です。
退職後は、雇用保険、年金、税金などさまざまな手続きがあります。
健康保険についても、退職してからゆっくり考えればいいというわけではありません。
退職前から選択肢を比較しておいた方が安心だと思います。
任意継続は「会社負担」がなくなる
任意継続を考えるとき、私が特に重要だと思うのが保険料です。
会社員として働いている間、健康保険料は原則として会社と本人が分担して負担しています。
ところが退職して任意継続になると、会社負担がなくなり、本人が全額負担します。
そのため、
「今までと同じ健康保険だから、保険料も同じくらいだろう」
と思っていると、退職後の負担額を見て驚く可能性があります。
ただし、協会けんぽの任意継続には、保険料計算の基礎となる標準報酬月額に上限があります。
2026年度(令和8年度)の協会けんぽでは、その上限は32万円です。
したがって、退職前の給与が高かった人の場合でも、単純に退職前の健康保険料がそのまま2倍になるとは限りません。
ここは実際の金額を確認して比較することが重要です。
② 国民健康保険に加入する
2つ目の選択肢が「国民健康保険」です。
会社の健康保険などに加入していない人が加入する公的医療保険で、手続きは住んでいる市区町村で行います。
国民健康保険で特に注意したいのが、
保険料は全国一律ではない
という点です。
具体的な計算方法や保険料率などは自治体によって異なり、世帯や前年の所得などをもとに計算されます。
ここが、退職したばかりの人にとって大きなポイントです。
退職して収入が減っても、すぐに国保が安くなるとは限らない
例えば、
「会社を辞めたから今年の収入は大幅に減る。だから国民健康保険も安くなるだろう」
と思うかもしれません。
ところが、国民健康保険料は前年の所得などをもとに計算されます。
そのため、退職直前まで比較的高い給与を受け取っていた人の場合、
現在の収入は減っているのに、国民健康保険料は思ったより高い
ということが起こり得ます。
これは、退職を考えている人にはぜひ知っておいてほしいポイントです。
私も退職して初めて、
「退職後のお金は、現在の収入だけを見て考えてはいけない」
ということを実感しました。
住民税などにも共通しますが、「前年の所得」が退職後の負担に影響する制度があるからです。
国民健康保険には「扶養」という考え方がない
会社の健康保険と国民健康保険では、大きく違うところがあります。
それが「扶養」です。
会社の健康保険では、一定の条件を満たす家族を被扶養者にできる場合があります。
一方、国民健康保険には会社の健康保険と同じ意味での「扶養」という仕組みはありません。
家族も国民健康保険に加入する場合は、世帯の加入者として保険料計算の対象になります。
そのため、
家族が何人いるか
という点も、任意継続と国民健康保険を比較するときの重要なポイントになります。
③ 家族の健康保険の扶養に入る
3つ目が、配偶者や家族が会社員などで健康保険に加入している場合、その健康保険の「被扶養者」になる方法です。
被扶養者として認められれば、原則として本人の健康保険料負担はありません。
そのため、条件を満たす人にとっては非常に大きな選択肢になります。
ただし、
「退職したから自動的に家族の扶養に入れる」
わけではありません。
収入などの条件があり、加入している健康保険によって確認が必要です。
退職後に雇用保険の基本手当を受給する場合なども、扶養認定に影響することがあります。
そのため、家族の扶養を検討する場合は、家族の勤務先や加入している健康保険に事前に確認しておくことが大切です。
3つの選択肢を比較してみる
退職後の健康保険を簡単に整理すると、次のようになります。

こうして見ると、
「退職したら国民健康保険」
と最初から決めてしまうのは、少し早いことが分かります。
任意継続と国保、結局どちらが安い?
これは、残念ながら一律には答えられません。
退職前の給与、前年所得、住んでいる自治体、年齢、家族構成などによって結果が変わるからです。
だからこそ、退職前に、
① 任意継続した場合の月額保険料
② 国民健康保険に加入した場合の年間保険料
③ 家族の扶養に入れる可能性
この3つを確認して比較することが重要です。
「制度を知る」だけではなく、
実際に自分の場合はいくらになるのか
まで確認して初めて、判断材料がそろいます。
退職理由によって国民健康保険料が軽減される場合も
もう一つ知っておきたい制度があります。
倒産や解雇などによる離職や、一定の「特定理由離職者」に該当する場合には、国民健康保険料(税)の軽減措置を受けられる場合があります。
すべての退職者が対象になるわけではありません。
雇用保険の離職理由などによって対象になるかどうかが変わるため、自分が該当する可能性がある場合には、市区町村の国民健康保険窓口で確認してみることをおすすめします。
再就職が決まったらどうなる?
退職後に任意継続や国民健康保険に加入していても、その後、再就職して勤務先の健康保険に加入することがあります。
この場合は、新しい勤務先の健康保険へ切り替えることになります。
特に任意継続の場合、新しい勤務先で健康保険の被保険者資格を取得すると、任意継続の資格を喪失します。
退職後すぐに再就職する予定がある人は、
「退職から再就職までの健康保険をどうするか」
という視点で考えることも大切です。
たとえ短い期間であっても、健康保険の手続きは必要です。
私が退職して感じたこと
会社員として働いていた頃、健康保険は給与明細に書かれている「控除項目の一つ」という感覚でした。
毎月給与から引かれている。
病院へ行けば使える。
それくらいしか意識していなかったと思います。
しかし、実際に退職すると、
「健康保険を自分で選ぶ」
という場面がやってきました。
任意継続。
国民健康保険。
家族の扶養。
さらに再就職する場合は、新しい勤務先の健康保険。
退職という一つの出来事によって、これまで会社が手続きしてくれていた制度を、自分自身で考えなければならなくなります。
そこで感じたのは、
退職後の制度は、知らないことよりも「比較しないこと」が怖い
ということでした。
制度を知っていれば、
「自分の場合はどれがいいのだろう?」
と調べることができます。
知らなければ、比較することさえできません。
退職前に確認しておきたいこと
退職後の健康保険について、私は次のことを事前に確認しておくとよいと思います。
・退職日はいつか
・現在加入している健康保険は何か
・任意継続した場合の保険料はいくらか
・国民健康保険に加入した場合はいくらになるか
・家族の扶養に入れる可能性はあるか
・再就職の予定はあるか
・任意継続の「20日以内」という期限を確認したか
特に保険料については、インターネット上の一般的な金額だけで判断せず、加入している健康保険や市区町村に確認するのが確実です。
まとめ|退職後の健康保険は「比較してから決める」
退職後の健康保険には、主に、
① 任意継続
② 国民健康保険
③ 家族の健康保険の扶養
という3つの選択肢があります。
どれが一番有利なのかは、人によって違います。
特に注意したいのは、
「退職後の収入が減る=すぐに保険料も安くなる」とは限らない
ということです。
退職前の給与や前年所得、家族構成などによって、負担額が変わります。
だからこそ、
退職してから考えるのではなく、退職する前に金額まで調べて比較する。
これが大切だと思います。
私自身、60歳で退職したことで、それまで会社に任せていたさまざまな制度を一つずつ調べるようになりました。
健康保険も、その一つです。
退職は、仕事が変わるだけではありません。
税金、健康保険、年金、雇用保険など、生活を支えている制度との付き合い方も変わります。
これから退職を考えている方にとって、この記事が「自分の場合はどうだろう?」と確認するきっかけになれば幸いです。
※本記事は2026年8月7日時点の制度をもとに作成しています。健康保険料や加入条件などは変更される場合があります。実際の手続き・保険料については、加入している健康保険、市区町村、勤務先などで最新情報をご確認ください。
参考資料・出典
この記事は、全国健康保険協会(協会けんぽ)などの公式情報をもとに、2026年8月17日時点の制度について整理しています。
・全国健康保険協会(協会けんぽ)「退職後の健康保険について」
・全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」
・全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続の加入条件について」
健康保険の保険料や加入条件などは、加入する健康保険やお住まいの自治体、家族構成などによって異なります。実際に手続きをする際は、加入先やお住まいの市区町村などで最新の情報をご確認ください。
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